予算を超える金額で受注する営業マンの話し

現職の社長とは、もともと飲み仲間だったのですが、飲みの席で、客観的に考えて、その業界でその商品を、その金額で受注できるのは「あり得ない」と思うような金額を、しかも同じお客様から継続的に引っ張ってくる話しが何度かありました。

私が転職してからは同行訪問をする機会がありました。社長の営業手法は私とは正反対でした。

私のスタイルは、まずお客様に予算を確認し、その範囲内でできる内容を見積もります。1回目でなるべくベストプライスを提示し、交渉があってもスピーディーに受注につなげるやり方です。人とお金の話しはあまりしたくなく、話し合いをしたくないので、できるだけ早く決着をつけたいと考えています。雑談は好きですが。

しかし、社長は全く違いました。

同行した案件では、最初に提示されている予算感を完全に無視し、まずはすべての要望を聞いたうえで金額を提示します。しかもその金額は予算の3倍に達することもあります。お客様から「話を聞いていたのか?」「そんなのは無理だ」と言われ、言い争いになることもありました。ところが、そのやり取りの中で要望を削り、落としどころを決め、最終的には予算の1.5倍ほどの金額で受注してしまうのです。

社長は「将来的な関係性のために赤字覚悟で値引きする」ということを絶対にしません。むしろ、少しでも赤字になりそうな案件は断固として避ける姿勢を貫いています。

当然ながら、そんな社長と私とでは考え方が合いません。利益を最大化するための姿勢は学ぶべき点が多いのですが、私自身は人と争うことに疲れてしまい、心がすり減ってしまうタイプです。そのため、社長からすると「やったけれど文句のつけようがなく、何とも気持ちの悪さが残る」ような対応を、私はとりあえずしているのが実情です。

いつ降格させられるかクビにされるのかとたまに心配になることもありますが、気持ちが入らないので悩ましいです。

そういえば、社長はバリバリの技術者だったな。営業センスもあるのは凄すぎる。。。